干した唐辛子を味見してみる。
甘ーい!と思ったら、とんでもなく辛いのもある。
ハサミで輪切りにしておけば、いいスパイスになる。
姉の耳がどんどん遠くなる。
補聴器を使うように言ってもきかないので、もう誰も言わない。
本人は「大丈夫、大丈夫」を繰り返し、相手に大きな声を出すように要求する。
たまに電話をかけてきて、
「いつも電話をもらうので」などと、やけにしっかりしたことを言ったりする。
95歳、今日も「大丈夫」を繰り返す。
そして、わたしは電話口で大声を張りあげながら、笑う。
冬の日は短く、大切な時間が過ぎていく。